【映画データ】
・原題:Mitt liv som hund / My Life as a Dog
・原作:レイダル・イェンソン「マイライフ・アズ・ア・ドッグ 」(1983)
・制作年度:1985年
・制作国:スウェーデン
・言語:スウェーデン語
・監督:ラッセ・ハルストレム
・出演:アントン・グランセリウス メリンダ・キナマン アンキ・リデン
・上映時間:102分
・レーティング:G
・ジャンル:ドラマ
【あらすじ】
「よく考えてみれば、ぼくは運がよかった。宇宙へ送られたあのライカ犬は、心臓や脳にワイヤーをつけられ、食べ物がなくなるまで地球を回り続け、やがて餓死した。ぼくはそれよりマシだ」
そんなふうに自分を納得させながら生きている、12歳の少年イングマル(アントン・グランセリウス)。
海辺の町で暮らすイングマルの一家は、元写真家の母(アンキ・リデン)、意地悪な兄エリク(マンフレド・セルネル)、そして愛犬シッカンと暮らしていた。
母は重い病気で床に伏し、父は外国へ行ったまま帰ってこない。
兄エリクはよくイングマルをからかい、反撃しようと物を壊せば、見つかって叱られるのは決まってイングマルだった。
母のことが大好きだったが、イングマルの行動は結果的に母を疲れさせてしまう。
静かな環境が必要だとして、夏休みの間、兄弟は別々の場所へ預けられることになる。
イングマルが向かったのは、田舎の村の叔父叔母のもと。
グンネル叔父さん(トーマス・フォン・プレムセン)と妻ウラ(キッキ・ルンドグレン)は駅で温かく迎えてくれた。
彼はそこで、サッカーをしたり、同年代の子どもたちと遊んだり、ガラス工場の手伝いをしたりと、のびのびした日々を過ごす。
男の子のような少女サガ(メリンダ・キナマン)とも仲良くなる。
叱られることも、責められることもない夏の日々。
しかし町へ戻ると、待っていたのは以前と変わらない“厄介者”扱いの日常だった。
そして秋、母は亡くなる。
イングマルは再び、叔父グンネルの家へ戻ることになるのだった。
【ナイトの覚え書】
スプートニク・ショックに揺れ、ワールドカップに熱狂する1950年代のスウェーデンを舞台に、母のもとではすべてが空回りしていた少年が、田舎の村で初めて伸び伸びとした生活を取り戻し、成長していく物語。
村の人々はみな個性的で寛容。
イングマルがヌードモデルをのぞこうとして屋根のガラス窓を割り、落下しても、誰も怒らない。
ライカ犬の話に自分を重ね、さらにずっと気にかけている愛犬のシッカンのこと。
彼の子どもならではの突飛な行動は、どこか可笑しく、そして切ない。
サッカーとボクシングが好きな少女サガも、男の子のような服装をしながら、膨らみ始めた胸を気にして、「いつまでこのままでいられるのか」と悩み、少しずつ少女へと変わっていく。その姿も印象的だった。
イングマルの起こす騒動に、ついヒステリックになってしまう大人の気持ちも理解できる。
それでも、世界の悲惨な出来事を引き合いに出して「ぼくはまだマシだ」と自分に言い聞かせ続けるイングマル少年を見ると、思わず抱きしめてあげたくなる。